腰痛の正しい治し方
21世紀は超高齢化社会だといわれています。
どんなによい機械でも、長年使いこめば劣化します。
人間の体の要でもある腰もその例外ではありませんし、腰の骨のサポーター役である背筋や腹筋も弱ってきます。
厚生労働省の患者統計では、この数年、腰痛患者は増えていませんが、今後、お年寄りの腰痛は増えることはあっても減ることはないと考えています。
さらに社会の発達に伴う省力化によって、人間は筋肉が発達不良になり、ちょっとした腰への負担にも耐えられず、すぐ腰痛を起こすようになります。
またストレス社会はこころの「こり」だけでなく、筋肉も緊張させるため、肩こりや腰こりも起こします。
人類の半分以上を占める女性。
その女性の一生は、腰痛との闘いであるとさえいわれます。
女性ホルモンの関係で、どうしても筋肉質にはなれず、背骨や骨盤の靭帯もゆるみやすく、そのうえ、閉経後には、骨からカルシウムが出て骨がもろくなる骨粗鬆症になりやすいからです。
このようにみると、腰痛は新たな現代病ともいえ、国民病になりつつあるといっても過言ではありません。
実際、すでにアメリカやヨーロッパでは、腰痛の予防と治療を目的にした「腰痛学校」が盛んです。
同じようなものが日本でもやがて普及するかもしれません。
腰痛学校とは、外来では十分な説明や指導をする時間もないので、腰痛患者さんに院内一カ所に集まっていただいて、集団教育する場をいいます。
腰痛教室とも呼びます。
そこでは腰痛の治療に不可欠である腰痛の原因についての説明や、腰部のしくみや坐骨神経の走り方、腰痛予防のための日常生活での注意点や生活の知恵まで話されます。
もちろん、予防策の一つとして腰痛体操も集団的に指導されます。
「病気じゃないから」などといって、つい軽視してしまいがちなのが腰痛であることもたしかです。
「腰が重い」「座っていられない」「腰痛のほかに足もしびれる」と、訴える症状、程度も様々です。
このような様々な腰痛をどう治したらよいのでしょうか。
正しい腰痛の治し方、どうしても治らないものなら、せめて正しい腰痛との付き合い方、これらを知っておくことがいかに大切かについては説明の必要はないと思います。
腰痛は人間の宿命か
腰痛は、二本足で直立歩行するようになって以来、人類のいわば宿命的な病気だといわれています。
人間が重い上半身を支え、体を垂直に保つには、腰に大きな負担をかけることになるからです。
ですから腰痛は、長時間立ちっぱなしでいたり、中腰で重いものを持ち上げたりして、腰にとくに負担をかけたときに起こりがちです。
獣医さんによれば、胴体の長いダックスフンドという犬は、椎間板ヘルニアになることが多いそうですが、やはり胴長のために腰に負担が大きくかかるせいなのでしょうか。
横になって休めば、たいていの腰痛は楽になります。
これは腰にかかる負担がとれるからです。
負担をかけると痛むが、楽をさせると軽くなる−これが整形外科領域での腰痛の大きな特徴といえます。
しかしそれほどはっきりした要因、つまり負担がなくても腰痛を起こすことがあります。
たとえば肩をたたかれて振り向いただけで腰痛を起こしたり、顔を洗うときにちょっと中腰になっただけでぎっくり腰になったりします。
また、健康によいはずのテニスやゴルフなどのスポーツも、やり方しだいでは腰痛のきっかけにもなります。
同じ負担を受けても、背筋や腹筋が弱かったり、無防備で筋肉が働いていなかったりすると、体を支えきれずに、背骨や無理な負担となるため、腰痛を起こしてしまうのです。